【MH4G】狩猟の果て

訪れるたびその表情を変える未知の樹海。その日は入ってすぐ右手が次のエリアに続く、縦に細長いひし形のようなエリアだった。




 奥に進むに連れ左右が狭く、一度追い込まれると逃げ延びるのが困難。一方で、点在するなだらかな丘にはやわらかな陽光をたっぷりと浴びた芝生がやはりやわらかく伸びており、木陰に腰を下ろしてお弁当を広げたいような、そんな居心地のいい場所だった。


 またある日は氷海で兎の頭を吹き飛ばし続けていた。マップ中央・高台のエリアと、海に面したエリアを繋ぐ最短ルートは傾斜がきつく息を切らしながら往復した。兎2羽を3人2:1に分かれて狩りを行い、がんばって2人に間に合わせようとするのが楽しかった。背中に担いだ火竜砲の熱を感じながら酷寒の大地を駆け回った。[背中に担いだ火竜砲]の熱を感じたのか、それとも背中に([担いだ火竜砲の])熱を感じたのだろうか。どっちでもいいのではないだろうか。


 人の手により造られたフィールド、限られたスペース。行き止まりとして定められたありふれた木々を分け入ることができたとして、閉じられたその先には何もない。しかしその境界をなんら意識することなく、開けた世界で日々何かを追い続けていた。


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 思えばMH4/4Gは最高のアクションゲームだった。わがままファッションガールズモードだった。わがままファッションなのに組みあがるのはシリーズ屈指の最強装備だったため、それを身に纏う充足感/ヽ冫/ヽoTょヵゝッT=。*1 質と質を兼ね備えていた。私は何事も一番いいものがいい、妥協ができない、少しできる性格なので最強で最かわな装備は最高だった。今までやってきた数多のゲームの"私"の中でもかなりの強さだった。トレーナーの私も冒険者の私も、ハンターの私一人で全て倒せそうだった。

 そしてそれをもってしてもまったくもって御しきれない一撃即死の高難度*2、狩りゲー付きガチャ”ギルドクエスト”。極限ラージャンのA種族値は840くらいはあるのではないだろうか。しかしゲンシグラードン(A180)あたりならタイマン張れそうだ。さすがに盛りすぎた。小学生がしそうな話になってはいないだろうか。


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 私はミニマリスト()なので、クロスがあればいーやと年末大掃除の時に4Gのソフトを処分してしまっていた。ソフト一本分部屋を広くして一体なんになるというのか。数千時間の思い出が書き込まれたギルドカードはフォーマットされ永久に消え去った。クロスは賑やかなゲームだったが、やってすぐG級モーションがないこと、おしゃれに制約がありすぎることに物足りなさを感じた。着るものがなく、集会場は肌着(スロ3)のハンターでごった返していた。



クロスにて実装された新インナー



ライトボウガン『ノブレスオーダー』
貫通弾の装填数に優れる他、鬼人弾・睡眠弾が使用可能
今作では属性特化ライトが非常に強力だったこと、雪山や砂漠に変な花を摘みに行く必要があり制作難度が高かったことから大成しなかった
古いシューティングゲームのような気の抜けた発砲音が特徴的



ルパンダイブ不可避


 狩技ゲージを消費し、絶対回避できりもみエリアチェンジするのは楽しかった。次のエリアに向かってみんなで並走していると思ったら、おもむろに一人だけ高速回転して次エリアに突っ込む技である。この新技を大いに広めたかった。私がエリチェンするのはいいが、ナルガがエリチェンしまくるのは許されなかった。


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 改めて写真を整理するとめっちゃ楽しんでいたようにも思えたが、それでもクロスをやるごとに4Gが恋しくなっていた。あたたかいケチャワチャの帽子。風にふくらむフリルのスカート。きらめく紫ゲージのルナティックローズが恐暴竜のアキレス腱をズタズタに引き裂く感触を再び味わいたかった。暗黒盆踊り*3が見たかった。今まさに飛びかからんする敵の鼻っ柱に銃口を向き直し、ヘビィの心もとないシールドで超ノックバックしながらラージャンのメテオフリッカーをどうにか耐え凌ぐ試行錯誤の日々が懐かしかった。


 ギルクエをやりたかった。同じモンスターを狩り続けておもしろいのか?という問があるが、難度の高い狩猟を繰り返し成功させることは、武道・芸道の”型”に通ずるものがあると思う。先人の編み出した理に適った正しい動きは美しく、またうまく決まった時は気持ちのいいものである。それを繰り返しなぞることに心地よさを感じるのは自然である(適当)。なによりガチャが回せるのである(重要)。


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 クロスの最終武器の名称がG級相当だったため、XGは出ないことが予想された。私は4Gを買い戻すことにした。細かいことを言うと4と4Gの狩りは少し違っていた。4の狂竜化ブラキガルルガはCERO[C]で売ってはいけないレベルの強さだったため4Gで弱体化した。4でもGでも等しくなぶられ違いが全く分からなかったがどうやらそういう話らしかった。冒頭で書いた樹海のマップもG級では消えていた。しかし4はもう誰もやらないと思うので4Gに絞った。あのおだやかな夏の丘陵にはもう行けない・・・


 世界樹の出現により周囲の街が栄え、消失とともに再び寂れていく。対しバルバレは移ろいゆく市場。本来なら活気のある土地に移動しているはずだが、私一人のために未だそこにあった。集会場にはもう誰もいない。下位からG級までの途方もない旅程を一人でやりなおすのはしんどい。あわよくば中古に残ったデータで名前を借りて…と思ったが、そこにいたのはゴグマ一式に紅蓮爆炎刃(レア7)のるろうに剣心だった。どんな人が遊んでいたのか想像出来すぎて吹き出した。剣心はイヤなので諦めて初期化した。


 ストーリーも改めてやってみると大冒険だった。世界の危機に仲間一人一人が私の帰りを信じて送り出してくれた。もし未プレイで、『モンハン』がやりたくなった時にはぜひ手に取ってみてほしい(4Gに4のストーリーも全て入っています)。まあ、世界の危機(村シャガル)救えなくてしばらくやってないんだけど・・・


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 長々しゃべりましたが、一番言いたいのは"一緒に遊んでくれてありがとう"ということです。


 うさぎを狩り過ぎて目がうさぎみたいになった恐怖のハンター。

 おだやかなほほえみが目に浮かぶような謙虚なハンター。

 顔文字通りのニヤけ顔が目に浮かぶような気さくなハンター。

 ジョーに捕食された瞬間回線落ちし、その後行方不明になったのほほんハンター。

 パンとパンツ以外の人語を解さない変質者。


 春夏秋冬年がら年中夢中になってやっていた。何が私を狩り場へと駆り立てたのだろう。明日のために君は何をここで得たのだろう。今思えば私は人に会いに行っていたのだと思う。


 私は気分が落ちてくると、つい人間関係を一発で終わらせるような内面をこぼしてしまいあらゆるコミュニティから離れてしまう。それを何度も繰り返してやっとわかったことは、かけがえのないものは人だけだということ。人と遊ぶのが一番楽しいということ。楽しい時間だった。大好きな時間だった。一番いい時間だった。人といるのが一番いいんだとわかった。


 一番よくしてくれた、一番いい人達に一番いいことが起こることを祈っています。

 ありがとう。

*1:ハンパなかった

*2:Wii/PSVita『朧村正』のハードモード”死狂”

*3:フラフラとした足取りで大きく首を振りながら即死ブレスを吐き散らすイビルジョーのG級モーション