一人と一人(7)


ずっと思ってた。こんな調子で70や80まで生きられるわけがない。またささいな事で大袈裟に転げ回って、仕事をやる辞めるして、ゆくゆくは立ち行かなくなる。自分のために生きられないなら死んだほうがいい。自分一人生かせないなら死ななければならない。


でも、誰かのためになら生きていられると思った。自分より大切な誰かを見つけられれば生きていけると思っていた。









7月13日

それからしばらくして。


彼女はサボった分を取り返すのに忙しそうにしていた。外でご飯を食べていたら、でかいトンボが飛んできてビビったみたいなどうでもいいツイートもしていた。ともかく、元気そうだった。


お話ししませんか? DMが来た。特に話題もないんだけどね…。私は特に話題ないけど、話したかったと答えた。彼女は笑っていた。


花火でも見に行きたいね。
近所で大きな花火大会があり、毎年家族で行くらしい。そっか。じゃあ秋になったら前言ってた紅葉見に行こうかなぁ。


なんとなくその時は引き下がってしまった。


7月2週。ぼちぼち貯金もできてどこに引っ越すか考えていた。私は落ち込んだ時一人で立ち直れない、落ちられる限り落ちていってしまうので、友達のいる所に行こうと思っていた。適度に遊んで気を紛らせてもらおうと思っていた。次の誕生日までには島を出たかった。


それとも彼女のいるところに行くか? 気持ち悪いか。だいたい彼女彼女って彼女でもなんでもない。でも次に会う時には、今のふわふわした関係をもう少ししっかりさせたいと思っていた。









私はそのどちらへも行かなかった。


この数ヶ月間、具合の良くない親戚のおじさんのお世話をしていた。うちの家系は早死独身精神病離婚で人がおらず、私にお鉢が回ってきていた。良くなるまで面倒見てやと言われていたし、私もその気だった。


たぶん昔手術したところがぶり返してきたんだろうと思っていたが、田舎の病院がいい加減なのかいつまでも原因が分からず、寝たきりがちになり、しまいには入院してしまった。
いつまでここにいればいいんだろう。おじさんをほったらかして島を出ていくことはできない。これから先のことについて何も見通しが立たなかった。私は塞ぎ込みがちになった。


悩みごとは誰かに打ち明けた方がいいと分かっていて、人に薦めてもいて、でもそれを自分ではしなかった。誰に何を話してどうなる? かまってちゃんだと思われたくない、八方美人を気取りたかったのかもしれない。

思えば、いつも自分がだめになっていくのをただ眺めているだけだった。どうにかしようという気がそもそもなかった。


唯一、彼女とのDMだけはちょくちょくしていた。努めて明るい言葉で励ました。彼女は色んな人と話していた。いい傾向だと思った。でもそれを見るのは辛かった。私が辛い時、彼女は何もしてくれない。するも何も、私は何のサインも出していなかった。


学期末のごたごたが片付いたらまた話そうと約束していた。私はその約束を守らなかった。ツイッターのアカウントを消し、連絡を絶った。一時何もかも忘れたかった。自分のことしか考えられなくなっていた。3日経って元に戻すと、彼女はもういなかった。



その8に続く